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社協職員レポート

★社協職員レポート ~過去の神栖市社協決算額比較分析~

sr.r3.10.7.001前回の職員レポート(県内市町村社協比較分析2021)で、神栖市社協の活動内容や財源構成について、茨城県内他社協と比較する形で紹介させていただきました。

その中で、市町村それぞれの人口規模や福祉に関する住民意識、社会資源の充足状況、行政福祉施策との役割分担など、様々な事情により、その市町村にある社協の活動内容は大きく違っていることをレポートしましたが、神栖市社協の中だけでみても「5年前の神栖市社協」「10年前の神栖市社協」と比べると大きく変化してきており、それは各年度の決算状況からも明らかとなっています。


今回レポート作成にあたり、神栖市社協の過去10年間の決算書を見返してみました。
特に各年度の「支出決算額(お金の使われ方)」に注目したところ、この大きな変化は、事業の規模や内容の変化によるものでしたが、変化の理由は、神栖市社協の活動方針である「地域福祉活動計画(5カ年計画)」と密接に連動していたことを再認識しました。
 
本レポートでは、過去10年間のうち、地域福祉活動計画の実施初年次であった「平成22年度(第3次計画)」、「平成27年度(第4次計画)」、「令和2年度(第5次計画-現在の計画)」の支出決算額を比較し、神栖市社協がこの10年間で目指してきたことをまとめてみたいと思います。
 
決算歴史
 
上の表は、神栖市社協が毎年度の決算報告時に、決算概要を説明する資料として作成している「資金収支計算書総括表」から、各年度の支出決算額を抽出して整理し直したものです。
なお、表左側にある事業名は、収支計算を行う単位として経理規程に定めているもので、活動内容別に「拠点区分(左に数字表記)」、さらに事業単位で詳細に収支計算を行う「サービス区分(左にアルファベット表記)」があります。(現行規程では削除したものもあります)

10年前(平成22年度)は、法令等にもとづく福祉サービスの提供(上表No.3から8)にかかる支出が全体の半分近くを占めていました。決算額だけみると、「介護保険事業中心型」や「総合型」に近い社協スタイルとなっています。
しかし、介護保険制度施行から10年が経過し、かつては社協のほか数法人しか関わっていなかった介護保険サービス分野に、この頃には多数の民間事業所が活躍されるようになりました。
この状況をふまえ、神栖市社協は「第3次地域福祉活動計画」の中で、民間事業者が多数参入し社会資源が充実した分野の事業については競合せずに応援するという立場を明らかにし、同分野ではサービス提供規模の縮小や事業終了に向け動き出すとともに、「福祉の総合相談窓口」としての機能を基盤に、支援の充実が望まれる分野、制度の狭間で困っている人々への積極的な関わりを活動の中心としていくスタイルへの転換を具体的に計画化しました。
 
5年前(平成27年度)の支出決算額は、居宅介護支援事業、高齢者デイサービスが終了(いずれも平成25年度)し、法令等にもとづく福祉サービスの提供は障害福祉分野が中心となっています。しかし障害者福祉分野も法整備が進む(障害者総合支援法が平成25年施行)につれ民間事業所の参入が増え、神栖市社協は「第4次地域福祉活動計画」の中で、障害者福祉分野も民間事業所を応援するスタイルへの切替を計画化しました。(ホームヘルプサービス、デイサービス、福祉作業所は平成30年度をもって神栖市社協による運営を終了。市内で社会資源が不足している「障害者計画相談支援事業(No.4)」のみ現在も運営を継続しています。)
さらに第4次計画では、これまで進めてきた「福祉の総合相談窓口」機能強化、その裏付けとなる事務局職員の専門職種化(これは、平成17年策定の第2次地域福祉活動計画から掲げ続けている目標です)に立脚した、新しい地域福祉事業展開を活動目標に掲げました。

その1年目となったこの年は、新事業「福祉後見サポートセンターかみす」の立ち上げ準備(平成28年度開設)、「コミュニティソーシャルワーカーの圏域別配置」を行いました。
その他、平成25年から始まった「長期休暇中障がい児預かり事業(No.1-c)」平成26年度から始まった「福祉専門職の派遣(労働者派遣事業。No.12)」、平成29年度からは「生活困窮者自立支援事業」の受託(No.2-k)、令和元年度からは「ひきこもり家族相談」(決算額はNo.1-aに包括)など、支援の充実が望まれる分野、社協の専門性をより発揮できる事業が、支出面でも徐々に増え、計画期間を通してその規模も増えていきます。
 
 

第5次地域福祉活動計画「第5次地域福祉活動計画」実施初年次となった前年度(令和2年度)は、法令等にもとづく福祉サービスの提供にかかる支出は全体の1%以下となり、神栖市社協が、10年前の「事業複合型」から「中立公正な相談支援型」に転換したことが、決算からも明らかとなりました。
多くのスタッフを必要とする福祉サービスが終了したため、5年前、10年前と比べると職員の規模も小さくなり、支出決算額は10年前の7割強まで少なくなりました。
ただしこの年は、1年を通して新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、理事会や評議員会はほとんどが書面審議(みなし決議)となり、また計画していた事業の多くが休止・延期となる一方、コロナの影響で生活が困窮した世帯からの相談を中心に年間相談件数が過去最高(22,223件。前年度の2.7倍)となるなど、過去に例のない特殊な1年となりました。


この年度の決算額で「生活福祉資金に関する事業(2-m)」の決算額が1千万円を超えていることは、この年を象徴する結果だったと思います。

そんな「特別な1年」の中でも、「成年後見制度に関する事業(1-d)」は、平成28年度から進めている福祉後見サポートセンターかみすの運営が着実に進展し、支出の規模も年々増加しています。コロナ禍にあっても、認知症高齢者や精神障害者・知的障害者の市民的権利と財産を最終場面まで支える法人後見を含めた総合的な権利擁護活動は1年を通して続けました。
また、精神障害者の地域生活支援(1-b、2-f。精神保健デイケア等)、「ひきこもり家族相談」なども、コロナの影響を最小限に抑え、創意工夫しながら事業を継続してきました。生活困窮世帯への相談対応をはじめとする「総合相談体制の充実強化」を含め、いずれの取り組みも、第5次計画に掲げた重点項目です。

これから5年後の支出決算額がどのようになるのか、今断定できることはありません。しかし、どうなるとしても、これまでの神栖市社協がそうであったように、その時々の社会情勢や住民ニーズ、行政との役割分担等をふまえ、「今の神栖市民、神栖市社協に必要な活動」が反映されているのは間違いないと思います。
今後、神栖市社協がどうなっていくのか。まずは第5次計画の実行と評価・進行管理を着実に行いながら(また、今年度の決算書作成の基礎となる、日々の会計業務を怠らずに)、来る「第6次地域福祉活動計画(令和7年度~)」の策定に向け、「将来の神栖市民、神栖市社協に必要な活動」について、いろいろと想いをめぐらせていこうと思います。

<福祉活動推進センター S>

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